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2018年2月7日
犬がウンチをする時にグルグルと回ることがあります。犬を飼っている人も「そういえば、そんなことしていたなぁ」と感じるような何気ない行動ですが、意外にも意味があるそうです。

グルグル回るのは磁場が関係している?

ドイツのデュースブルグ=エッセン大学とプラハのチェコ生命科学大学の研究者たちが2年間にわたり70匹の犬を観察し、1,893回の排便と5,582回の排尿の向き、そしてその地域の磁場について調査した論文が、科学雑誌「Frontiers in Zoology」に2013年に掲載されていました。
この研究者たちの調査によると「犬は排便時に体を南北方向に向ける傾向があり、また、磁場が不安定な時にはこの傾向がみられない」ということが分かりました。また、意図的に南北方向に体を向ける一方で、東西方向を避けているという傾向もみられています。


出典:Frontiers in Zoology

では、なぜ南北を向いているかということですが、論文中では理由が明らかにされていませんでした。しかし、研究者たちは、南北の地軸に体を合わせることで落ち着いて排便できるのではないかと考えています。
犬たちは用を足すとき、南北を探すためにグルグルと回っているというのです。

ここまでの話ですと、単に『犬たちが落ち着いて用を足せる方角をグルグル回って探している』という話になりますが、興味深いのは、犬たちが何らかの方法で磁場を感知しているかもしれないということです。
地球の磁場を感知することを「磁気受容」と呼ぶそうですが、その最たる例が渡り鳥です。彼らは地球の磁場を目視できるといわれています。この磁場を目視できる能力のおかげで、渡り鳥たちは長い空路を間違えることなく、正確な方角に向けて飛び続けることが出来るのです。もし、犬が本当に磁場を感知できるのだとすると、これと同じような能力が犬にも備わっているということになります。

犬と人は見えている世界が違うとよく言われますが、もしかしたら、他にも人間には分からない世界が犬たちには見えているのかもしれません。

まだまだ研究途中で別の説も・・・

ここまで、犬が磁場を知覚して南北をグルグル探しているという話をしましたが、一方で、犬がグルグル回るのは大昔に野生にいたころの名残であるという意見もあります。野生にいたころの犬は、厳しい上下関係や縄張り争いをしていました。そのため、睡眠時などは自分のスペースに円形のマーキングを行っていたという説があります。犬が用を足すときにクルクル回るのは、その名残ではないかというものです。
また一方で、野生では常に外敵に襲われる危険性があったことから、その場所が本当に安全か臭いを嗅いでみたり、グルグル回ることで辺りを警戒しているのではないかという意見もあります。

調べてみると、さまざまな説が出てくる犬のグルグル運動ですが、「グルグル南北を探している」「グルグル周りを警戒している」という説が主なものでした。犬がより快適な方角を探しているというのは、犬の気持ちなので精査しにくい問題ですが、実際の調査結果で南北を向いているということは、やはり何かしらの意味があるのではないかと思えてきます。

読者のあなたも愛犬がウンチをするときにグルグル回る方角を観察してみてください。本当に南北方向を体を向けているかもしれません。