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2023年12月24日

 

大好きだったボルゾイのリムが天使になって、今年で何度目のクリスマスだろう。毎年この時期になると思い出すのは、クリスマスの不思議な出来事。

我が家には、丸くてカラフルなオーナメントがキラキラ光る大きなクリスマスツリーがあった。明るく家族を照らしてくれるそのクリスマスツリーは、毎年私たち家族を笑顔にしてくれた。

私はクリスマスが大好きだった。

もちろんリムもクリスマスが大好きだった。

家族はいつもよりニコニコしてるし、お母さんは大きな鶏肉だってサービスしてくれる。

リムはツリーの前に座ると、いつも何かを考えているかのように、ぼーっと眺めていた。

「リムもツリーが好きなんだね。」

リムと出会ったのは私が11歳の時。

うちに来たばかりの時、子犬で小さかったリムはあっという間に大きくなり、すぐに私の「お姉ちゃん」のような存在になっていた。

一言で言うなら、リムはクールビューティー。他の犬には見向きもせず、ただただビロードのような毛をなびかせながら、ひたすら自分の道をいった。

私が泣けば、そっと横に寄り添って、顔をぺろぺろしてくれた。だから学校で嫌なことがあった日は、「よし、家でぺろぺろしてもらおう」と、それを想うだけで私の心は軽くなった。リムはとにかく温かくて、いつも私の味方でいてくれた。

 

そんなリムが唯一夢中だったのがボールだった。ボールを与えると、大事そうにハウスに持ち帰り、夢中でぺろぺろ舐めていた。

リムとの突然のお別れが訪れたのは、クリスマスを目前に控えた12月の寒い日の朝。私が17歳の時だった。

いつもは元気いっぱいにご飯を食べるはずのリムがご飯を食べない。そういえば数日前、お散歩中に咳をしていたっけ。

動物病院に連れて行くと、そのまま入院を薦められた。何もわからなかった私たちは、そのままリムを小さなケージに預けて、動物病院を後にした。

それから数時間後、リムの容態は急変し、あっという間に天使になってしまったのだった。

わがまま一つ言わなかったリムが最期、体調の異変も訴えずに我慢し、暗いケージの中で息を引き取ったことを想像すると涙が止まらなかった。

その年のクリスマスは、リムのいない静かなクリスマスになった。

それから3年後、リムにそっくりな子犬、ロージーがうちに来た。

やんちゃで、わがままで、甘えん坊で、リムとは真反対な性格。でもその性格のおかげで、リムと重なることはなかった。

ロージーもクリスマスが大好きだった。

大はしゃぎでオーナメントを引っ張って遊ぶことも。

 

「ロージー、それはボールじゃないからダメって言ってるでしょ」

 

そんなふうにしてロージーは、毎日事件を起こしては私を笑わせ、リムがいなくなりぽかぁんと開いてしまった穴を埋めてくれた。

 

そんなロージーもうちに来て10年、寿命を宣告される日が訪れた。

 

「ロージーは、入院させたくない。」

 

寿命が一ヶ月だと言われたロージーは、家で三ヶ月頑張り、私の腕の中で天使になって旅立っていった。12月のことだった。

 

私はそれから家を出て一人で暮らすことにした。

 

そして次の年の秋。

 

「今年のクリスマスはツリーでも飾ろうかな」

 

小さな丸いオーナメントのついた、ガラスのツリーを買ってきた。しかし家に着くや否や、せっかく買ったばかりのツリーを落として割ってしまった。

 

「あー。買ったばっかりなのに…」

 

散らばったオーナメントを回収したけど、どうしても2つ足りない。

 

「ついてないなー。」

 

そして数日後、ロージーが天使になって1年経った日の朝。起きて空を見ようと窓を開けると、あれだけ探してもなかったオーナメントがベランダにコロリ。

 

それを見た途端私は感じた。

 

「まさか、ロージーじゃないよね…?」

 

その数日後、まさかとは思いながら、リムの命日の日にベランダを探した。

 

「あるわけないか。」

 

すると、探したはずの植木の中にオーナメントが、まるで申し訳なさそうに、ポツンと落ちていた。

 

「そっか、リムはこれがずっと欲しかったんだね。」

 

そしてその時、リムとロージーが私に会いに来たんだと確信した。

 

オーナメントの転がり方も、リムらしかったし、ロージーらしくて、なんだか笑ってしまった。

 

「会いにきてくれて、ありがとう。私も会いたかったよ。」

 

それから私は、クリスマスツリーに飾られた光るオーナメントを見ると、大好きな家族と一緒に笑う、世界中の犬の姿を想像する。

 

一つ、一つが美しくて、温かくて、愛おしい

そんな光。