2022年7月6日
【獣医師監修】心配な愛犬の新型コロナ対策!ペットに感染するか?感染対策は?
- 本記事は獣医師を中心とした株式会社DogHuggyのTrust&Safetyチームによって作成された記事です。
- 本記事は2020年4月15日に書かれたものです。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連する情報は日々更新されています。最新の情報は公共機関のホームページなどを確認しましょう。
目次
新型コロナウイルスはペットに感染する?
これまでに世界では、犬2例(香港)・猫2例(ベルギー、香港)の新型コロナウイルス感染が報告されています。しかし、新型コロナウイルスがヒトからペットに“感染”し、その後ペットが“発症”したことを明確に示すデータはありません。(※1,2)
一方、新しいウイルスでまだ研究データが少ないため、ペットにも感染する可能性があると考えて感染対策を行うことが望ましいとされています。
(※1)香港では、犬の口・鼻から採取した検体がPCR検査で「弱陽性反応」を示したと報告されています。しかし、PCR検査はウイルスの生死に関係なくウイルス遺伝子を検出するため、「PCR検査で弱陽性=感染している」とは限りません。
また、この犬では呼吸器症状などの症状は確認されていません。
(※2)ベルギーでは、新型コロナウイルスに感染した猫が呼吸器症状および消化器症状を示したと報告されています。しかし、これらの症状が新型コロナウイルス由来であるかどうかは不明で、この猫が新型コロナウイルス感染症を発症したと断言することはできません。
ペットを感染から守るにはどうしたらいい?
大事なことは3つ
- “人間”が家にウイルスを持ち込まない
- “物”によって持ち込まれるウイルスに注意する
- “ペット”を家族以外の人や動物と触れ合わせない
“人間”が家にウイルスを持ち込まない
新型コロナウイルス感染症はヒトーヒト間で感染が広がっている、ヒトの感染症です。ペットを感染から守るためには、飼い主自身が感染しないように気をつけることが何よりも重要です。
不要不急の外出は自粛し、どうしても外出する必要がある場合にはマスクを着用しましょう。また、「3密(密集、密室、密接)」を避けましょう。
外出から帰ってきたら、ペットと触れ合う前に、まずは石鹸で20秒以上手洗いをすることも忘れずに。
“物”によって持ち込まれるウイルスに注意する
新型コロナウイルスは、環境中でも一定期間生存するという研究結果が出ています。外から持ち込んだ物も消毒するようにしましょう。
なお、環境中での生存期間は下記の通りです。
- 空気中:3時間(※粒子の大きさによる)
- プラスチック:2〜3日
- ステンレス:2〜3日
- 紙、段ボール:24時間
- 銅:4時間
“ペット”を家族以外の人や動物と触れ合わせない
人間と同じく、ペットも不要不急の外出は控えましょう。適度な散歩は運動不足解消やストレス軽減のためには大切ですが、できる限り自宅の敷地内(庭など)で行うか、他の人や他のペットのいる場所や時間帯は避けて外に出ましょう。
手洗い、消毒の方法
手洗い
正しく手洗いをすることで、手や手首に付着しているウイルスを除去することができます。こまめに手洗いをしましょう。
手洗いのタイミング
- 外出先から帰宅したとき、外出先に到着したとき
- 調理や食事の前
- トイレの後
- 咳やくしゃみをした後、鼻をかんだ後
- ペットに触れる前後
手洗いの方法
手のひら→手の甲→指先や爪の間→指の間→親指→手首と順番に洗い残しがないようにしましょう。石鹸を使って、20秒以上しっかり手洗いをすることもポイントです。
※流水で手洗いができないときには、60~95%のアルコールで手指を消毒しましょう。
消毒
物の表面の消毒には、次亜塩素酸ナトリウム液(0.05%)や次亜塩素酸水(0.02%)を使いましょう。これらは、各種の病原細菌やウイルスに対する殺菌・不活化活性が消毒用アルコール(70%)よりも高く効果的です。
次亜塩素酸ナトリウム液
家庭では塩素系漂白剤として使用されており、比較的容易に入手できます。新型コロナウイルス感染症対策として物の表面の消毒に使用する際には、0.05%の濃度になるように水で薄めてください。
※使用上の注意点
・必ず手袋を着用し直接触らない
・マスクや換気をする
・酸に混ぜない(混ぜると塩素ガスが発生して危険!)
・薄めた液体は時間の経過とともに効果が薄れるため、毎回使用する分だけを薄める
次亜塩素酸水
塩酸または塩化ナトリウム水溶液を電気分解することで得られる液体で、次亜塩素酸ナトリウム液と同等の殺菌効果があります。次亜塩素酸ナトリウム液と異なり生体に無毒であることが特徴です。食品添加物としても認可されており、ペットが舐めても安心です。
※直接触れても全く問題ないですが、手指の消毒に活用することに関しては「現時点では有効性が確認されていない」との政府見解が先日出ました。手指のウイルス除去には十分な手洗いが大切です。
消毒・除菌剤の使用については犬にアルコール消毒は危険!消毒・除菌におすすめな方法とは?も参考ください。
まとめ
- 新型コロナウイルスはペットにも感染する可能性があると考えて十分な感染対策を行うことが望ましい
- ペットを感染から守るためにはまずは飼い主自身が感染しないよう生活することが重要
- 手洗いはこまめに、石鹸を使って20秒以上行うこと
- 物の表面の消毒にはペットにも安全な次亜塩素酸水がおすすめ
参考文献
- 厚生労働省
- 公益社団法人東京都獣医師会
- CDC(アメリカ疾病予防管理センター)
- OIE(国際獣疫事務局)
- Aerosol and Surface Stability of SARS-CoV-2 as Compared with SARS-CoV-1
(van Doremalen N et al., N Engl J Med 2020; 382:1564-1567. DOI: 10.1056/NEJMc2004973)