トレーニング・Tips
2018年4月7日

愛犬がしばしば噛みついたり、やたらに吠えたり、粗相を繰り返したり、食糞する。こんな困ったことが続くと「病気なの?」と不安になるでしょう。この記事では、そうした愛犬の困った行動と心の病気について解説します。

 

出典:写真AC

噛みつく(攻撃)は本能的な恐れ・怒り・不信感が原因

犬が噛みつく時、大抵は次の3つが原因です

  • 怖くて身を守るために噛みつく(恐怖)
  • 相手の行動に怒り、自分に従わせようとして噛みつく(支配)
  • 信頼関係を築けていない相手を排除するために噛みつく(守護)

ほとんどの犬には、こうした攻撃的な面があります。

ただ、しばしば噛みつくような、極度に怖がりだったり、支配欲が強すぎたり、強固な守りに固執する犬は、心が頑なな状態。そうした心は解してあげましょう。

犬は「嬉しい!」と感じることが起こる状況を繰り返し求めます。反対に「嫌だ」と感じることが起こる状況は避けようとします。

ですから「怖い」と感じる状況になった時に「嬉しい!」と思うことを起こしてあげましょう。

そして「飼い主を従わせよう」と噛みついてきたり、来客に噛みつこうとしたような場合は、犬のことを完全に無視! 他にも、離れた場所で大きな音を立てるなど犬が「嫌!」と感じる状態を作りましょう。

根気よく続けることで、改善することができますよ。

 

吠えるのは本能。でも、過剰に吠えるのは心の病

犬は吠えることで自分の意志を相手に伝えたり、強さを競ったりします。ですから、犬が吠えることは仕方がないこと。ですが、過剰に吠える場合は、心の病が関係しています。

噛みつくほど強い攻撃性はなくても、しつこく吠え続けたり、要求を通そうと長時間吠え続けたりするなら、強いストレスを感じています。

また、ペットショップで売られている犬の中には、母犬や兄弟犬から離されるのが早すぎた子がいます。この場合、親・兄弟から教えてもらうことを知らずに育っていて、心の成長が上手くいっていないことも。

人や他の犬達とどう関係を築けばいいのか分かっていないので、少しずつ教えてあげましょう。

まず、食事やおやつを飼い主が与え、一緒に遊ぶ時間を作ります。飼い主と愛犬の間に信頼関係を築き「この人と一緒なら大丈夫」と犬に覚えてもらいます。

それから、散歩の時に他の人や犬と触れ合ったり、友人達に来客になってもらうなどして、社会に馴染むトレーニングを積んでください。

怖いと感じるものや状況が減れば、吠える機会が減ります。また、人の社会に馴染んでくれば、自分の要求を一方的に押し通そうとすることも減りますよ。

どうしても過剰な反応が消えず、ストレスに苛まれているような犬の場合は、獣医師に相談しましょう。精神安定剤や抗不安薬を処方してもらって改善していく方法もあります。

 

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トイレトレーニングが終わっているのに粗相する

トイレトレーニングが終わっているのに、トイレ以外の場所で粗相をするのは「分離不安」という心の病の特徴です。

留守番させた時に家具を破壊したり粗相をしたりするのは、愛犬が飼い主に依存し過ぎ。飼い主と一緒に居なければ不安で仕方がない! という異常な状態です。

また、飼い主がしばしば変わった犬、十分な愛情を受けられずに環境が変わり続けた犬にもみられます。

分離不安の治療は時間がかかります。根気よく治していきましょう。

まず、一緒に遊ぶ時間、触れ合う時間をたっぷり作りましょう。同時に、愛犬だけの専用のくつろぎスペースを作ります。いわゆる寝床ですね。

そして、毎日、愛犬の視界から飼い主がいなくなる状況を作ります。最初はほんの数秒からでOK!

バスタオルをかけたクレートの中でおやつを食べる、といったような「飼い主の姿が見えない時に嬉しいことが起こる状況」を繰り返しましょう。

飼い主の姿が見えなくなることに慣れ、くつろぎスペースで飼い主と離れて過ごす時間を作る。

これを繰り返していけば、留守番にストレスを感じなくなり、粗相もなくなります。

飼い主の愛情を感じる時間と、静かに自分だけで過ごす時間。この両方に犬が慣れてくれば、分離不安も改善できますよ。

 

尻尾を追いかけてグルグル回ったり、尾や足に噛み付く

尻尾を追いかけたり、尾や足に噛みつくといった意味のない行動を繰り返すのは、重度の心の病にかかっている証拠! 人でいえば鬱状態です。

強迫性異常症といわれる状態なので、すぐ病院へ行きましょう。ほとんどの場合、強いストレスが原因です。

  • 散歩時間が短い
  • 自由な運動が足りていない
  • 生活が単調(決まり切ったことしかできない生活)でストレスが溜まっている

こうしたことは犬にとって強いストレスになります。ここに加齢や突然の環境変化といった、さらなるストレスが重なると発症します。

すぐに完治させることはできませんが、抗うつ剤を使ったり、散歩や運動時間を長くしたり、これまでと違った遊びを取り入れることで、少しずつ症状を改善させることができます。

犬が犬らしく本能を発揮できる状況を作り、ストレスを溜めない環境を整えていけば異常行動も減ってきますよ。

 

食糞は心の病とは限らない

飼い主が驚く犬の行動に「食糞」があります。

これは心の病気である場合もあれば、問題ないケースもあります。

例えば、子犬を守る母犬や、仲間を守る犬が食糞し、敵から自分達の住みかを隠そうとすることがあります。これは異常ではありません。

しかし、ストレスから異物を食べるのは心の病で、糞がたまたまストレスの矛先になっている例も。

ストレスの原因を取り除き、できるだけ早く糞を片付けて興味が向かないようにするのがベストな対処法です。

愛犬の状況に合わせて対処してくださいね。

 

心の病は飼い主の対策次第で改善できる

犬の過剰な行動には、多くの場合、心の病が関係しています。

社会に馴染めるようトレーニングを繰り返したり、愛犬と飼い主が適度な距離感を保ったり、ストレスを発散させたりすることで、心の病を改善することができます。

意味のない行動を繰り返すような、今すぐ状況を改善してあげなければならないケースもあれば、食糞のように必ずしも心の病ではないケースも。

愛犬の行動をよく観察し、判断できない場合は獣医師と相談しながら対処してくださいね。