トレーニング・Tips
2018年5月8日
犬が自分のしっぽを追いかけてグルグルと回る光景。一見かわいらしくも感じますが、うなり声を上げながらしっぽに噛みつこうとする姿は、犬にとって良い状態ではありません。今回は、犬がしっぽを追いかける原因と対処法についてご紹介します。


出典:flickr

しっぽを追いかけるいちばんの原因はストレス

犬がしっぽを追いかけてグルグルと回る場合、主に考えられる原因は以下です。

  • 生活にストレスを感じている
  • ひとりで遊んでいる
  • しっぽに不快感がある
  • てんかんの症状

しっぽを追いかける行動自体は、「テイルチェイシング」と呼ばれるもので、特段珍しいものでもありません。好奇心旺盛な子犬であれば、遊びの一種として自分のしっぽを追いかけたりします。

成犬でも、しっぽの付け根やお尻あたりに痒みなどの不快感を感じたら、グルグルとしっぽを追いかけることがあります。不快感が原因の場合、炎症が起こっていないかチェックして、場合によっては動物病院で診てもらいましょう。

また、しっぽを追いかける行動は、てんかん発作を発症している場合もあるので、症状が疑われる場合には検査を受けさせてあげましょう。

そして、しっぽを追いかける原因で最も多いのが「ストレス」によるものです。犬も人間と同じように、生活にストレスを感じます。そこで、自分のしっぽを追いかけることで、ストレス発散を図っているんです。問題なのが、実際にしっぽを傷つけてしまったり、行動自体が常態化してしまうことです。

犬には「常同障害」という心の病気があります。ストレス状態が続くことで、同じ行動を繰り返すようになってしまうのです。今回のしっぽを追いかける行動も、常同障害の症状のひとつ。症状がひどくなると、しっぽに噛みついて毛がむしれてしまったり、血が出て皮膚がただれたりしても、しっぽを追うことをやめなくなってしまいます。そのため、犬がしっぽを追いかける行動も、あまり頻繁に見られるようであれば注意が必要です。常同障害へと発展してしまう前に、対処していきましょう。

ADVERTISING

広告

行動の対処法と根本的な解決方法

犬がしっぽを追いかけているとき、飼い主は反応しないことが大切です。叱ったり、笑ったり、褒めたりといった反応は、犬を勘ちがいさせます。たとえばストレスが原因でしっぽを追いかけている場合でも、飼い主が何かしら反応すると、犬は「褒められている」「かまってもらえている」と勘ちがいしてしまいます。すると次からは、飼い主の気を引くためにグルグルとしっぽを追いかけるようになったりするのです。

また、そもそものストレスの原因は何のか考えてみましょう。ストレスを取り除いてあげることで、しっぽを追いかけることをやめさせられる期待が持てます。最近になってグルグルとしっぽを追いかけるようになったのであれば、直近で何かしら生活環境が変わったことが原因かもしれません。そのほかにも、散歩の時間が短い、かまってあげる時間が減っている、犬が落ち着いて過ごせる空間がない、などストレスになっている要因を探し、できるかぎり対処してあげましょう。

ほかにもある犬のストレスサイン

犬がストレスを感じているとき、しっぽを追いかける行動だけがそのサインではありません。犬が発するストレスサインとして、よく言われるのが以下のものたちです。

  • 体を舐める
  • 呼吸が荒い
  • 震えている
  • あくびをする
  • 同じ場所をうろうろする
  • 下痢をする

など

そのほかにも、犬によってさまざまなストレスサインを発しています。体を舐める行為も一見問題なさそうに感じますが、犬の自傷行為のひとつだったりするのです。「いつもとちがう」「これは大丈夫なの?」と感じたら、病気や体調不良だけでなくストレスも疑ってみましょう。

犬が発するストレスサインに気づくことが大切

はじめて犬を飼う場合など、犬について持ち合わせている知識はそう多くないでしょう。しっぽを追いかけるという行動も、犬にはよくあることくらいの認識でいると、後になって犬が痛い思いをしてしまうかもしれません。

犬が発するストレスサインに気づいてあげられるのは、いちばん身近な存在である飼い主です。犬が快適に過ごせるよう、細かなことに気づいていき、対処してあげましょう。