犬種図鑑
2019年7月20日
勇敢で知性を備えているケアーンテリア。飼育難易度は高めですが、飼い主のしつけ次第では心強いパートナーとなるでしょう。今回は、そんなケアーンテリアの歴史や性格、飼い方までをご紹介します。

ケアーンテリアって、どんな犬?


画像:instagram era_cairnterrierさん

小型で活発、元気に動き回るのが大好きな犬です。アメリカで人気な犬種ですが、日本のペットショップなどで目にする機会はあまり多くありません。

テリアと名の付く犬は多く存在していますが、ケアーンテリアは、中でも祖先のテリアに近いフォルムや気質を受け継いでおり、テリアの原型と言われています。そのため、多くのテリア愛好家から注目されています。

現在では、主に家庭犬として人気なケアーンテリアですが、元々は狩猟犬として飼われていました。狩猟犬時代は、石と石の隙間に住む小動物の狩りを担っていた為、家庭でも時折、本能的に家具の隙間に鼻先を突っ込んだり、穴を掘るような仕草をすることがあります。

アメリカでケアーンテリアが注目されるようになったのは、1939年。映画「オズの魔法使い」で、ドロシーの愛犬トト役をケアーンテリアのテリーという犬が担当したことがきっかけでした。作中で、飼い主を大切にし、勇敢で活発に動き回るトトの姿は、ケアーンテリアのイメージをよく表しています。

ケアーンテリアの歴史

ケアーンテリア

ケアーンテリアはスコットランドで生まれた犬種です。地名から名付けられ、元々はスコティッシュテリアという名前でした。当時、スコティッシュテリアには、スカイ島に住むスカイテリアや、現在でいうダンディ・ディンモント・テリアなどが含まれていましたが、はっきりとした犬種として区別されてはいませんでした。

その後、19世紀の終わり頃から、こうしたテリアの品種分けが始まり、ケアーンテリアは1913年に初めて独立した犬種として認められました。

ケアーンテリアの名前の「ケアーン」とは、スコットランドで地域の境界線や、お墓などの目印になるよう、石を積み上げて作った標識のことを指します。ケアーンの隙間に住むキツネや、カワウソなどの小動物を狩る役割をしていたため、ケアーンテリアと呼ばれるようになりました。

こうして、鋭い牙を持つキツネやカワウソにも怯まない、勇敢で負けん気の強い性格と、小柄で丈夫な体を持ち合わせたケアーンテリアが生まれました。

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ケアーンテリアの特徴


画像:instagram era_cairnterrierさん

<特徴>

  • 大きさ:小型犬
  • 標準体高:約28~31cm
  • 平均体重:6~7kg
  • 被毛:ダブルコート
  • 被毛の色:クリーム、ウィートン、レッド、グレー、ブリンドル
  • かかりやすい病気:目の病気

被毛

ケアーンテリアの毛色は、クリーム(乳白色)、ウィートン(小麦色)、レッド(褐色)、グレー(灰色)、ブリンドル(黒地に茶色がかった斑点のある毛色)などの種類があり、同じ個体でも年齢とともに毛色が変化することで知られています。一生のうちに7色の毛色に変化したという例もあります。

この特性から、一匹として全く同じ毛色の犬が存在しないと言われるほど、豊富な毛色が確認されています。

毛の生え方は、上毛と下毛の二層構造であるダブルコートです。短くびっしりとはえる下毛の上を、3~5cmほどの堅い巻き毛(上毛)が覆っています。
顔の周りの毛が少し長くなっており、キツネのような風貌になっているのが特徴的です。

外見

体高は約28~31cm。理想的な体重は6~7kgで小型犬に分類されます。オスのほうがやや大きいことが多いですが、体格の差はほとんどありません。小型犬ですが華奢なイメージはなく、がっちりとした筋肉質の体を持っています。

また、他のテリア種と比べ、ケアーンテリアは幅広な頭部をしているのも特徴の一つです。

かかりやすい病気

ケアーンテリアは、目の病気にかかりやすく、白内障、緑内障、網膜異色症や水晶体脱臼などには注意が必要です。物にぶつかる等の症状が現れたら、目が見えづらくなっているサインかもしれません。進行すると失明の危険もありますので、すぐに病院で診てもらうことをおすすめします。

ケアーンテリアの性格や気質


画像:instagram mrlouiemayerさん

ケアーンテリアは、前向きで気が強く、とても活発です。また、飼い主に忠実で、勇敢さや知性を備えています。

学習能力が十分に備わっているので、子犬の頃からしっかりしつければ、吠え癖や噛み癖を防ぐことが出来ます。

しかし、頑固で飽きやすい一面もあるので、しつけには根気が必要です。しつけの際には、好奇心旺盛でどんなことにもチャレンジする性質を活かし、おもちゃを活用したり複数のトレーニング法を活用するなど、飽きさせない工夫が必要です。

ケアーンテリアは、元々狩猟犬だったこともあり、どんな相手にも勇敢に立ち向かいます。飼い主を大切にする性格からも、番犬として力を発揮してくれるでしょう。

気をつけたいのは、本能的に動くものを追いかけてしまったり、他の犬に立ち向かってしまう性質がある点です。
元々狩猟犬だった為、気性の荒さ獰猛さは少なからず潜在しています。飼い主の言うことをしっかり聞くよう、普段から信頼関係を気づいておくことが重要です。しつけさえしっかり行えば、心強いパートナーになるでしょう。

ケアーンテリアの飼育方法


画像:instagram mu_no.ka_chanさん

<飼育方法>

  • 散歩頻度:1日2回、30~40分程度
  • 食事の回数:朝と夜、1日2回
  • ブラッシング:週に1、2回
  • 飼育環境:室内飼い

散歩回数

ケアーンテリアは、とにかく活発で元気が有り余ってしまうことが多いので、散歩で発散させてあげることが大切です。一般的には、1日2回30~40分程度の散歩が必要とされています。ドッグランなど、広い場所で走らせてあげるのも良いでしょう。

餌の頻度

餌は、成犬であれば朝と夜1日2回で体重に見合った量の餌を与えましょう。

幼犬や、老犬の場合は、餌を消化しやすいよう、1回にあげる餌の量を少なくして、1日の食事回数を増やしてあげる必要があります。

成犬でも、消化器官が弱いなどの理由で、1日2回の食事回数が合わない場合もあります。様子を見ながら、飼っているケアーンテリアにあった食事回数を決めていくのが良いでしょう。

ブラッシング

ケアーンテリアの毛質は硬質の為抜けにくく、絡まりにくいので、お手入れは週に1、2回のブラッシング程度で十分でしょう。
皮膚が弱い犬種なので、自分でブラッシングを行う際は、皮膚を傷つけないように注意し、柔らかめのブラシや櫛を使うことをおすすめします。

また、換毛期には指で毛をつまむように抜く、ハンド・ストリッピングという方法を用いたグルーミングが推奨されます。毛の生え変わりを助けるために必要なハンド・ストリッピングですが、自分でやると痛みを与えてしまうことがあるので、グルーミングサロンに連れて行くのが良いでしょう。

飼育環境

ケアーンテリアを飼う際は室内飼いが推奨されていますが、とても活発な為、物にぶつからずに余裕を持って動き回れるぐらいのスペースを確保してください。
また、寒い地域で生まれたため、寒さには比較的強いですが、暑さに弱い犬種なので、夏場は特に、部屋が熱くなりすぎないよう、エアコンなどの温度調節をこまめにしてあげることが大切です。