トレーニング・Tips
2017年5月29日
子犬と接して居る時、甘噛みが本気噛みにつながるという説がありますが、甘噛みと、本気噛みは異なります。ただし、遊びのなかで、本来の犬種の特徴や犬の性格のなかの攻撃性を引き出して助長させる行動をしてしまうと、意図していないところで攻撃的になってしまう可能性があります。犬の「噛む」という行動をよく理解して、正しく導いてあげましょう。

実は犬らしい行動!愛犬にとって「甘噛み」とは?

本来犬は群れで生活する動物と言われています。
群れの中で産まれて、母犬や兄弟姉妹と一緒に暮らしながら、遊びや狩りなどの社会性を身につけて成長します。人間の家庭の中には入った後は、家族の一員となった子犬に十分な運動をさせて、遊ばせることは飼い主の大切な役目の一つです。子犬にとって甘噛みすることは、犬という種として自然で、決して問題のある行動ではありません。

とはいえ、共に暮らす人間が痛みを我慢するのも限界があります。子犬が甘噛みの力加減がわからないのであれば、飼い主さんが正しい方法で力加減を教える必要があります。まず、そのためになぜ犬が甘噛みするのか理解しましょう。

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理由その① 遊びの延長・興奮している

犬同士が遊んでいる姿を見てみると、たいてい口を開けたまま相手の上に乗ったり、下敷きになったりしながら遊んでいます。遊びの手段として「甘噛み」があり、これを止めさせることは「遊びを禁止する」ということにつながりかねません。遊びを禁止するのは犬のフラストレーションを溜める原因になりますし、興奮させないようコントロールするのは飼い主さんの役割と言えます。

ここで注意すべきは、犬にしてみれば、「遊ぼう」と楽しく誘っていることと「怒られる」をつなげることは、コミュニケーションが成り立っていないし、今後のパートナーとしての関係性にもどこかで歪みが生じてしまうということになります。この力加減で甘噛みしたら「楽しい飼い主さんとの遊びが終わってしまった」「大好きな飼い主さんが去ってしまった」と学習させることが、犬に怒りを与えるよりは、簡単でやさしい方法です。怒らず、黙って遊びをストップさせましょう。ただ、噛まれる手足を振りほどく仕草は、さらに犬を興奮させてしまいます。飼い主さんが犬と目を合わさないで、じっと黙って甘噛みが終わるまで無視をして、遊びをストップします。この時、テンションの高く、高い声で「ヤメテ」といっても犬が楽しくなってしまうため、無言がベストでしょう。

理由その② 歯の生え替わりや口腔トラブル

甘噛みの行為が多く見られるのは歯が生え変わる時期の子犬で、口の中にむずむずした違和感があり物を噛むことがあります。これは当然相手を攻撃しようとしているのではなく、違和感によるストレスを感じているだけなので、この場合は歯が生えてしまえば収まります。他にも、口内炎や歯周病などの口腔トラブルが原因で同様に物を噛むこともありますが、この場合、トラブルを解消してあげることで止めさせることができます。

また、硬いロープなど、噛むための丈夫なオモチャを与えたり、噛まれて困る家具は置かない、また噛まれて困る家具のある部屋に犬を入れないなど、犬の行動を変える前に飼い主さん側でできるだけ生活環境をコントロールするようにしましょう。一日中クレートやサークルに入れっぱなしの飼育は避けるべきですが、飼い主が留守中や、食事中、入浴中など犬から目を離さざるを得ない時間はクレートやサークルに入ってもらうなどのメリハリをつけることや、キッチンや客間など犬が入ってはいけないエリアを決めて、ベビーゲートなどを活用するのもオススメです。

「イヤだ」の合図!噛み犬がいるのではなく、噛まれ人がいるだけ!

犬にとって、噛みは癖ではありません。ただ単に犬が自分の身を守るために「嫌なこと」への威嚇であったり攻撃する行動で得られた結果が学習につながったものです。

具体的に言うのであれば、トリミングの際に無理矢理押さえつけられたという「嫌な経験」に対して、「嫌」という意思表示を「噛む」という行動で止めさせられたという事実が積み重なると、犬は「噛む」ことによって「嫌なこと」が止めさせられると学習します。ブラシを持つと逃げたり、噛んだりするのは、その後に関連する「押さえつけられる」といった過去の経験への回避行動であり、ブラシを見て反応しているのです。愛犬が「噛む」行動をするということは、何かしら犬が受け入れられない「嫌なこと」があるはずです。

飼い主さん側で愛犬の嫌なことを理解して、回避する必要があります。単に「ダメ」と言葉で伝えるのではなく、何が原因で嫌なのかを考え、その原因を消去する方法を突き止める法が「噛む」への問題行動への解決策につながります。