トレーニング・Tips
2024年6月21日
犬が自らのしっぽを追いかけてグルグルと回る光景。一見かわいらしくも感じますが、うなり声を上げながらしっぽに噛みつこうとするケースは、犬にとって良い状態ではありません。今回は、犬がしっぽを追いかける原因と対処法を解説します。


出典:flickr

しっぽを追いかけるいちばんの原因はストレス

犬がしっぽに噛みつこうとグルグルと回っている場合、主に考えられる原因は以下のとおりです。

  • 生活にストレスを感じている
  • ひとりで遊んでいる
  • しっぽに不快感がある
  • てんかんの症状

しっぽを追いかける行動自体は、「テイルチェイシング」と呼ばれ、特段珍しいものではありません。好奇心旺盛な子犬であれば、遊びの一種として自らのしっぽを追いかけることもあります。

成犬でも、しっぽの付け根やお尻あたりに痒みなどの不快感を感じたら、グルグルとしっぽを追いかけることがあります。しっぽのあたりに炎症が起こっていないかチェックしてあげて、気になる症状があれば動物病院で診てもらいましょう。

また、しっぽを追いかける行動は、てんかん発作を発症している場合も。症状が疑われる場合には早めに検査を受けさせてあげましょう。

そして、しっぽを追いかける原因で最も多いのが「ストレス」によるものです。犬も人間と同じように、生活のなかでストレスを感じることがあり、自らのしっぽを追いかけることでストレス発散を図っているのです。問題なのが、実際にしっぽを傷つけてしまったり、しっぽを追いかける行動が常態化してしまったりすることです。

犬には「常同障害」という心の病気があります。ストレス状態が続くことで、同じ行動を繰り返すようになってしまうのです。今回のしっぽを追いかける行動も、常同障害の症状のひとつ。常同障害の症状がひどくなると、しっぽに噛みついて毛がむしれてしまったり、血が出て皮膚がただれたりしても、しっぽを追うことをやめてくれません。

そのため、犬がしっぽを追いかける行動が頻繁に見られると感じたら、常同障害へと発展してしまう前に適切に対処してあげましょう。以下、対処法を解説します。

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行動の対処法と根本的な解決方法

犬がしっぽを追いかけているとき、飼い主は反応しないことが大切です。叱ったり、笑ったり、褒めたりといった反応は、犬を勘ちがいさせます。

たとえば、ストレスが原因でしっぽを追いかけている場合でも、飼い主が何かしら反応すると、犬は「褒められている」「かまってもらえている」と勘ちがいしてしまいます。すると次からは、飼い主の気を引くためにグルグルとしっぽを追いかけるようにもなるのです。

また、そもそものストレスの原因は何なのか考えてみましょう。ストレスを取り除いてあげれば、しっぽを追いかけることをやめてくれる可能性があります。

最近になってグルグルとしっぽを追いかけるようになったのであれば、直近で何かしら生活環境が変わったことが原因かもしれません。そのほかにも、散歩の時間が短い、かまってあげる時間が減っている、犬が落ち着いて過ごせる空間がない、といったことがストレスになっている可能性も考えられます。ストレスの原因を探し、できるかぎり対処してあげましょう。

ほかにもある犬のストレスサイン

犬がストレスを感じているとき、しっぽを追いかける行動だけがそのサインではありません。犬が発する代表的なストレスサインは、以下のとおりです。

  • 体を舐める
  • 呼吸が荒い
  • 震えている
  • あくびをする
  • 同じ場所をうろうろする
  • 下痢をする など

そのほかにも、犬によってさまざまなストレスサインを発しています。体を舐める行為も一見問題なさそうに感じますが、犬の自傷行為のひとつだったりするのです。「いつもとちがう」「これは大丈夫なの?」と感じたら、病気や体調不良だけでなくストレスも疑ってみましょう。

犬が発するストレスサインに気づくことが大切

はじめて犬を飼う場合など、犬について持ち合わせている知識はそう多くないでしょう。しっぽを追いかける行動も、「犬にはよくあること」くらいの認識でいると、後になって犬が痛い思いをしてしまうかもしれません。

犬が発するストレスサインに気づいてあげられるのは、いちばん身近な存在である飼い主です。犬が快適に過ごせるよう、小さな変化にも気づくようにし、適切に対処してあげましょう。