健康・美容
2018年2月9日
ペット向け産業が発展し、ドッグフードも栄養バランスがよく、カロリーコントロールされた良質のものが簡単に手に入るようになってきました。しかし他社との差別化を計って意外なキャッチコピーで飼い主さんの心を惹こうとする商品があったりします。「それ、本当?」と困惑した経験がある飼い主さんも多いでしょう。世にあふれるドッグフードの中から「愛犬に今」最適なフードを選ぶための基準を紹介します。

出典:写真AC

フードは愛犬の状態に合わせて変えていくもの

ドッグフードの中には「これひとつでライフステージ全部カバーできます!」とうたっているものがあります。これは本当でしょうか?

人の場合、乳児・幼児・小学生・第二次性徴期・青年期・老年期というライフステージがあります。各ステージで体の成長度合いが全く違い、必要な栄養素も大きく異なります。決して「一生、同じものを食べて大丈夫です!」とは到底いえません。

犬だって同じです。子犬・成犬・老犬というステージごとに重視しなければならない栄養素が変わり、必要なカロリー量も違います。

魅力的なキャッチコピーに目を奪われることもありますが、必ず愛犬のライフステージや体の状態に合わせて、最適なフードを選んでください。

 

子犬:とにかく食べよう! 一生で一番成長する時期

離乳してから1歳になるまでが子犬の時期です。この時期は、しっかり食べさせなければなりません。

骨、筋肉、臓器など、全てが急激に成長する時期なので、タンパク質や脂質、ビタミン類、ミネラル類全てが欠かせず、成犬の倍近い量が必要になります。

しかも、子犬の消化吸収能力は未発達で効率よく栄養素を取り込むことができないのに、一度にたくさん食べることもできません。子犬の時期は次のようなポイントを重視してフードを選んでください。

  • 消化しやすく、吸収率がよい
  • 高タンパクで高カロリー
  • ビタミン類、ミネラル類が通常よりも多く含まれている
  • 口の大きさに合った小粒タイプ
  • 噛む練習ができる

子犬向けとして販売されているフードなら、こうした条件を満たしています。その中から、愛犬の口のサイズに合ったサイズの粒で、嗜好性の高いものを選びましょう。

選ぶ時にはパッケージの裏を見てください。「原材料」の欄に注目! ここには多く含まれているものから表示されています。最初に「肉類」が書かれているものがおすすめ! 肉や魚といったタンパク質が多い方が犬の食い付きはいいですよ。

なお、タンパク質は牛肉・豚肉・鶏肉・魚など色々あります。愛犬の好みのものを選んであげてください。

 

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成犬:食べて消費! 代謝が重要な時期

多くの場合、犬は1歳を過ぎると成犬になります。体の大きさ、骨格、内臓が完成し、性的にも成熟して、最もはつらつとした時期になります。

成犬期は「食べて、たくさん動く」がポイントです。食べる楽しみと、動く喜びをしっかり身につけたい時期です。この両方が愛犬の体と心の健康を維持します。

ドッグフードは体重に合わせて量を増やしていきます。子犬向けフードは少量で栄養素もカロリーも多く摂れるようになっていますから、成犬に食べさせると栄養素もカロリーもオーバーしてしまいます。

愛犬が1歳を超えて、体がほぼ完成したな、と感じたらフードを成犬用に変えましょう。ただし、急に変えると下痢や食欲不振の原因になります。

子犬用:成犬用=9:1からスタートし、一週間~10日間かけて少しずつフードを入れ替えてください。

成犬期は、1日2度の食事(朝と夕)を習慣にし、日中に行うしつけやトレーニングのご褒美としておやつを活用します。飼い主さんと一緒に過ごす時間と、おいしく食べる楽しみで心身共に充実した日々を送りましょう。

なお、大型犬は体が完成する時期が小型犬より遅く、高タンパク高カロリーのフードが2歳くらいまで必要なこともあります。大型犬の飼い主さんはブリーダーや獣医師、ドッグシッターなどに相談しながらフードを変えてください。

 

老犬:贅沢? いえいえ! 質にこだわりたい時期

小型犬は10歳(大型犬は7歳)を過ぎると老犬(人の年齢に換算すると60歳前後)になります。個体差が大きいのですが、体・行動・心に老化の兆候が出てきます。

動くスピードや運動量、毛艶、行動意欲などが徐々に落ち、食欲・顎の力・内臓機能・新陳代謝なども低下していきます。場合によっては、流動食のようなフードが必要になることもあります。

食べられる量や消化吸収能力が低下する中、体を維持するためのタンパク質やミネラル類、ビタミン類は十分摂らなければなりません。

老犬の場合は「贅沢かも?」と感じても、愛犬が「食べたい!」と感じる高タンパクで低カロリーの質の高いフードを選んでください。

・プレミアムフードの中で、高タンパク低カロリーのものを選ぶ
・総合栄養食のドライフードに、缶詰やレトルトパックの入ったウェットフードを加える
・総合栄養食のドライフードと手作りスープを合わせて介護食にする
・1日分の量を3~4回に分けて少量ずつ食べさせる

このような愛犬に合った工夫をしながら、質に特別こだわったフードを食べさせてあげてください。

 

時には思い切って愛犬に合ったフードを選ぼう

犬も人と同じように、ライフステージに応じてカロリーや重視すべき栄養素を変えながらフードを準備する必要があります。

どんどん成長する子犬の時期、体が完成して心身共に充実した活気溢れる時期、衰えを感じながらもマイペースに体を守る時期など、必ず各ステージに合ったフードを選んであげましょう。時には高級なフードに手を伸ばすことも必要です。

飼い主さんの心を惹こうとするキャッチコピーに惑わされず、今の愛犬に合ったフードを見抜いて選んでください。