健康・美容
2020年7月20日

犬を飼う前に、オーラルケアの知識を持とう

犬のオーラルケアで最も大切なのは「飼い主さん自身のオーラルケアに対する知識」です。犬は自分で自分の歯を磨くことができません。飼い主さんがケアしてあげましょう。

愛犬が辛い思いをし、我慢を強いられるようなオーラルケアではなく、楽しく喜んで身に付けられる歯磨きを習慣づけるにはどうすればいいのでしょうか?こうした知識を飼い主さん自身が犬を飼う前に身に付けておくことが理想です。歯磨き習慣の手順を、愛犬を迎える前に飼い主さんが身に付けておきましょう。

犬を家族に迎えたら歯磨き準備スタート

犬の歯磨き習慣は愛犬を家族の迎えた日からスタートしています。犬を飼い始めたら、必ず次のことを覚えさせましょう。

  • 人は犬に対して優しく嬉しい存在である
  • 犬は人の指示に従うものである
  • 犬は体のどこを人に触られても平気で、警戒する必要がない

歯磨きに限らず、ブラッシングや爪切り、耳掃除といったボディケアは、人が犬の体に触れて行います。

こうした日常的なケアを大人しく、静かに、安心・リラックスした状態で受け入れられるように、飼い主さんと犬の間で信頼関係を築くことが大切です。

とにかく、たくさん撫でて、いっぱい声をかけ、思いっきり遊んで人のことが大好きな犬に育てていきましょう。

 

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歯磨き習慣は、カメの歩みでじっくりと!

人のことが大好きな犬になったら、実際に歯磨き習慣を身に付けていきましょう。歯が生えそろう前にスタートしてもOKです。

ポイントは、焦らず、じっくり、少しずつステップアップしていくこと! 次のような流れで、ゆっくりと歯磨き習慣を身に付けていきましょう。

  • ミッション1:口に触られるのに慣れさせよう
  • ミッション2:唇をめくられても平気に!
  • ミッション3:ガーゼで歯をぬぐおう
  • ミッション4:前歯を磨いてみよう
  • ミッション5:口の中に指を入れられることに慣れさせよう

ミッション1:口に触られるのに慣れさせよう

犬の場合、口を抑えられる=負けを認める(服従する)ということになります。

例えば、母犬は子犬に「いけない!」と教える時に子犬の口をガブッと噛みますし、子犬同士の喧嘩でも、強い方が相手の口元を噛んで抑え込みます。

このため、犬は口に触れられるのを嫌います。しかし歯磨きでは、飼い主が口を抑え、ブラシで歯を磨きます。まずは飼い主が口に触れたり、抑えたりすることを犬に受け入れてもらう必要があります。

顔を撫でる時に口元を撫でるようにしたり、両方の手の平で顔を包み込むようにしたり、とにかく口に触れる時間を増やします。口に触れさせてくれたら、盛大に褒めてしっかり撫でてあげましょう。

「口に触れるのを許したら、嬉しいことが起こる(褒めてもらえる)」と愛犬が覚えたらOKです。とにかく子犬の頃から「飼い主には口元も許す」という習慣をつけていきましょう。

ミッション2:唇をめくられても平気に!

口元に触れても平気になったら、次はベロンと犬の唇をめくってみましょう。

唇をめくっている間、じっと動かず、吠えたり噛み付いたりしないで居られるように慣らします。

最初は唇に触れるだけでOKです。少しずつ触れる時間を長くし、めくることを受け入れさせましょう。歯が見えるくらいめくれるようになれば合格です。

ミッション3:ガーゼで歯をぬぐおう

唇をめくれるようになったら、やっと歯磨きらしくなります。

飼い主さんは柔らかなガーゼを指に巻き、見えた歯を軽く拭ってください。この時、歯肉を強く擦ったりしないでください。歯をサッとぬぐうだけにします。

まずは1本だけ。慣れてきたら、ぬぐう歯を変えていきます。そして、ぬぐい方も丁寧に、歯の表面を磨くようにしましょう。

ガーゼでどの歯をぬぐっても平気になったら、歯磨き習慣は半分合格です。

ミッション4:前歯を磨いてみよう

ガーゼを受け入れられるようになったら、もうOKでは? と思う飼い主さんもいるかもしれません。しかし、それでは歯の外側しか汚れを取ることができません。歯ブラシで歯の内側や歯と歯の隙間も磨けるようにレベルアップしていきましょう。

ガーゼOKになったら歯ブラシの登場です。子ども用の柔らかい歯ブラシや、360度毛に覆われた乳幼児向けの仕上げ磨き歯ブラシがおすすめです。

犬の唇をめくって、歯ブラシで前歯を磨いてみましょう。丁寧に磨く必要はありません。サッと磨くことができたら、しっかりと愛犬を褒めてあげます。

こうして、前や横の歯から順に、歯ブラシで磨かれることに慣らしていってください。

ミッション5:口の中に指を入れられることに慣れさせよう

前や横の歯を歯ブラシで磨けるようになってきたら、次は奥歯を! と行きたいところですが、まず、歯ブラシを置きます。

そして、飼い主さんが指を口の中に入れます。食べ物以外の物を入れられることに慣らしていくのです。

飼い主さんと犬の間に信頼関係が築けていて、犬が口に触れられることを受け入れているなら、口の中に指を突っ込まれることも平気になります。

口を開け、口の中に指を入れられてもじっとしていられるようになったら、やっと奥歯を歯ブラシで磨くことができます。

 

ミッション6:歯ブラシを口の中に入れられるようになろう

長い道のりでしたが、口の中に指を突っ込まれても平気になれば、奥歯までしっかり歯磨きができる犬になります。

こうしたステップアップ方式で歯磨き習慣を付けるのは面倒かもしれません。しかし、ひとつずつ段階を経て教えていかなければ、嫌がって逃げ回ったり、歯ブラシをただ、ガジガジと噛むだけで歯磨きをさせてくれない犬になってしまいます。

一度、変な癖がつくと修正するのは大変です。最初は、忍耐強くじっくり時間をかけて練習していくようにしましょう。

歯磨きのコツは「ベタ褒め」

歯磨きには「口に触れられる」「口の中に異物を入れられる」「口を開けたまま動かないことを強制される」など、犬に取って嫌なことがたくさんあります。

この嫌なことをちょっとだけ我慢させ、一瞬でもいいので我慢できたら盛大に褒めてあげましょう。この「褒める」が成功のコツです。犬は嬉しいことが起こると、その時に取った行動を繰り返す習性があります。ですから、とにかくしっかり褒めることが大切です。

褒めるにも、いろんな方法があります。

  • 声で褒める
  • 撫でて褒める
  • おやつで褒める

ぜひ、この3つを組み合わせた「ベタ褒め」で褒めながら歯磨き練習をしてください。

歯磨き練習中に「前歯を磨けたね!えらいね!おやつだよ!」とドライフード数粒を食べさせたりしてOKです。

「歯磨きにならないんじゃないか?」と思うかもしれませんが、習慣を確実に身に付けるための手段です。とにかく、しっかり褒めて歯磨きを受け入れられる愛犬に育てましょう。

歯磨き習慣は根気よくじっくり取り組もう

歯磨きには、犬が嫌がる要素がたくさんあります。このため、愛犬の激しい抵抗に遭って諦めてしまう飼い主さんがいます。

しかし歯磨き習慣は犬の健康維持に必要なもの。じっくり段階を経て、時間をかけて身に付けさせてください。コツは、とにかく褒めることです。言葉&撫でる&おやつをフル活用した、ベタ褒め作戦で成功させましょう。