犬種図鑑
2019年7月20日
現在確認されている犬種の中でもっとも古い犬種とされているアフガンハウンド。自立心が高く、マイペースであるため、何かを強制されたり、束縛されることをあまり好まない魅力的な性格が特徴です。今回は、そんなアフガンハウンドの特徴や性格、歴史、飼い方までご紹介します。

アフガンハウンドって、どんな犬?

被毛が美しいアフガンハウンド

アフガンハウンドは、長く美しいロングヘアが特徴的で見るものを魅了します。その威厳のあるスタイルから世界の富裕層から絶大な人気を誇る犬種です。

一方で運動量や被毛の手入れ、自立心の高い性格から初心者向けの犬種とは言えません。

そんな美しく優雅なアフガンハウンドの魅力を存分にお届けしていきたいと思います。

アフガンハウンドの歴史

アフガンハウンドは、南アジア、または中央アジアに位置したアフガニスタンを生まれ故郷とする犬種です。この国は、山岳地帯が大部分を占め、国土の大半は乾燥した気候です。夏は灼熱となり冬は極寒、朝晩の気温差が50℃前後ともなり、その環境の中で古くから生活していた犬種です。

現在確認されている犬種の中でもっとも古い犬とされており、聖書の創世記に描かれたノアの箱船に乗った犬という伝説も語られています。

歴史的な記録としては、古代エジプトの王族貴族の墓であるピラミッドや土石などの古代遺跡にも、アフガンハウンドらしき犬の存在が記されているのが確認されています。

人や動物の出入りも少ない厳しい山岳地帯で、他犬種との交配もなく、長い歴史に渡って純粋な原種を守り続けていました。

その後、大きく犬種の世界が広がっていったのは18世紀のアングロ・アフガン戦争後となります。

戦争に勝利したイギリスへ持ち込まれ、視覚を頼りに狩猟を行うサイトハウンド犬種として、他犬種との交配が始まりました。

しかし、その容姿に強く注目されたことによって、狩猟犬としての能力よりも、見栄えを優先して改良されていきました。

この改良が繰り返されることにより、ますます優雅で美しい被毛を纏い威厳のあるスタイルとなって、イギリスをはじめ世界のドッグショーに出場するようになり、世界の裕福層に求められる犬種となりました。

そして原種となった犬は、現在もアフガニスタンの山岳地帯に狩猟犬として生息しています。

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アフガンハウンドの特徴

<特徴>

  • 大きさ:大型犬
  • 標準体高:63cm~74cm
  • 平均体重:23kg~27kg
  • 被毛の色:ブラック・クリーム・ゴールデン
  • かかりやすい病気:股関節系疾患、胃捻転、外耳炎

外見

アフガンハウンドと聞くと一番に湧いてくるイメージは、しなやかに流れたなびく長毛、そして颯爽と歩く姿です。

成犬になると、体高63〜74cm、体重23.0〜27.0kg程の体格へと成長します。

山岳地帯や砂漠で猟犬として活躍してきた犬種であるため、手足の裏は大きく発達しており、がっしりと地面に立ち上がる姿はさらに堂々とした美しさを際立たせてます。

毛色

毛色については血統として認められる色を限っておらず、どんな毛色も認められています。一般的に見られる毛色はブラック・クリーム・ゴールデンです。その他にも、ホワイト・グレーなどの単色や、縞模様のようなプリンドル・3色が入り混じったトライカラーなどがあります。

生まれたばかりの子犬の毛色のまま成犬になるとは限らず、3歳くらいで毛がしっかり生え揃って初めて分かってきます。

かかりやすい病気

アフガンハウンドが比較的かかりやすい疾患ですが、多くの大型犬がかかかりやすいとされる病気には注意が必要です。

例えば、股関節系疾患胃捻転・腸捻転等です。耳が垂れている犬種に多いとされる外耳炎にも注意が必要となります。

アフガンハウンド特有の疾患として、若年性の白内障が比較的起こりやすいと言われています。一般的な犬種の場合は6歳以上の年齢となった犬に起こりやすい病気ですが、アフガンハウンドは2歳くらいから始まることがあります。

若年性とはいえ、白内障はこれといった予防方法がありません。早期に発見し対処していくことが重要となってきます。いずれにしても、飼い始めると同時にかかりつけの獣医師も見つけておくことが安心です。

病院での定期検診や日常生活で観察を行い、健康な状態を把握しておくことは、いざという時に素早く対応できるため非常に重要です。

アフガンハウンドの性格や気質

独立心の強いアフガンハウンド

アフガンハウンドは独立心が強いと評される犬種です。

その理由としては、狩猟犬としての在り方に集約されています。獲物を追いかける際に、飼い主と協力して獲物を追いかけるというよりは、人の追いつかないほどのスピードで走り続けて獲物を追い詰め、常に自分で状況を判断して猟を進めてきた歴史があるためです。

自己中心的な独立心ではなく、自分で考え判断し行動するという自立心が高いと表現すると的確かもしれません。

マイペースな性格?

飼い主に対しては非常に愛情深い犬種ですが、積極的に自分から甘えるというよりは、飼い主や家族と同じ空間でマイペースに行動し、互いの気配が感じられる距離を好みます。

自立心が高く、マイペースであるため、何かを強制されたり、束縛されることをあまり好みません。何かに対する執着心はほとんどなく、自らの判断で興味を持たなくなることもあります。

また、散歩などで小動物等を見つけると追いかけてしまう狩猟本能が残っています。散歩中など外では飼い主がリーダーシップを持って接することが大切です。

アフガンハウンドの飼育方法


画像:instagram norrr_67さん

<飼育方法>

  • 散歩頻度:1日2回、1時間~2時間
  • 食事の回数:1日2回
  • ブラッシング:毎日

散歩や運動頻度

アフガンハウンドは広い山岳地帯や砂漠で狩猟犬として生活していました。そのため、通常の大型犬以上に非常に多くの運動量を必要とします。

もちろん、走ることも大好きです。通常の引き運動であれば1日2回朝晩1〜2時間。ドッグランに行き、ノーリードで運動させることも好ましいと言えます。およそ30分ほどが目安です。

食事

アフガンハウンドのような大型犬は食事量も多くなります。

美しい風貌を保つために良質なタンパク質を加えた総合栄養食も与えましょう。フードのパッケージに総合栄養食と記載のあるものを選ぶと安心です。

犬は、成長過程に必要とされる栄養素の種類や量が異なります。一般的には「子犬用」「成犬用」「シニア用」とあり、そこへ体重管理や疾患に対応したものがあります。年齢と目的に応じたフードを与えましょう。

飼い主による手作りフードには材料の産地等の内容を把握できる安心感があり、愛犬のために調理する楽しさもあります。しかし、栄養が偏ってしまうことも多く、栄養バランスを総合的に保つのが簡単ではないため、犬用サプリメント等で補うことも考慮しましょう。

ブラッシング

アフガンハウンドの美しい毛を保つために、定期的な手入れが必要となります。

換毛は不定期ですが、毛質が細長く絡まりやすいため、毎日のブラッシング月1回程度のシャンプーが理想的です。

散歩等で汚れが付着してしまった部分に無理なブラッシングを行うと、逆に毛質を傷めてしまうため注意が必要です。

一旦丁寧に洗い、しっかりと乾燥させてから丁寧にブラシを入れることが大切です。

毛質に関しては、朝晩の気温差50℃にもなる乾燥した土地に順応するため、通気性と保温性を併せ持つ独特の毛質に発達してきました。高温多湿となる状態は、毛や皮膚の質を低下させてしまいます。シャンプーの時に関しても同様となり、洗浄後のドライヤーは徹底して行い、しっかりと乾かしてあげましょう。

室内環境

アフガニスタンの乾燥した土地で生まれ育った犬種であるため、日本のような湿度の高い環境や暑さにはあまり強くありません

そのため、温度や湿度が調整でき、美しい毛質を保つことも含めると、室内飼いが適しています。

アフガンハウンドはマイペースに過ごし、走ることが大好きな犬種です。飼育には十分なスペースがあることが好ましく、室内でも動きやすい環境を整えてあげましょう。

あまりに狭く不自由な場所での飼育は、ストレスを溜めてしまう原因にもなってしまいます。