健康・美容
2020年3月28日
朝の寝起き、抱っこをしたとき、家族が帰宅した時・・・愛犬がいつも手や顔を舐めてくる・・・微笑ましいような、ちょっと複雑なような・・・こんな時、どうして我が家の愛犬はこんなにも「舐めたい」アピールをするの?と気になることはありませんか?単なる癖とは言えない愛犬の習性に目を向けてみましょう。

口元へ接近することは動物にとって最大限の危険

実はすべての犬が家族や他犬へ無条件に顔を近づけ、熱心に相手を舐めるものではありません。
犬の中にはたとえ家族であっても顔を近づけたり、口元を舐めることに抵抗を感じたり、条件反射的に顔をそむける犬もいます。
これは犬に限らずすべての動物にとって相手の顔、口元に必要以上に接近することは自身の致命傷につながる怪我を負うリスクがあるからです。

もし不用意に相手の口元に近づいた時、相手から攻撃を受け、大きな牙で痛手を負う事もあります。
体の大きさが異なる相手であれば命の危険さえもあるでしょう。
にもかかわらず愛犬が家族の顔や口元に近づいてきたり、熱心に舐め続けるのは、家族に全幅の信頼を寄せていること、お互いに攻撃や怪我の危険性が無いことを心の底から理解しているからです。
これは犬特有の甘えや愛情表現でもあり、なかなかしつけで禁止することが難しい行動です。愛犬はまるで恋愛をしているような気分にいるのですから、家族が不快感を抱き叱ったり、遠ざけてもあまり効果はありません。完全に禁止させるためには時には愛犬との接し方、生活エリアの分け方から見直す必要があるでしょう。

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子犬の習性、甘え、愛情表現の意味も

犬は生後間もない時期、母犬と共に過ごす時間の中で、母犬の口元を子犬が刺激し空腹や甘えたいという意思表示をすると言われています。
成長後も親子でこのような仕草を見せることもあれば、多頭飼いの犬同士でお互いの口元を舐め合うこともあります。もちろん犬同士でもすべての愛情を受け入れてくれるケースもあればあまりに熱心なアピールに疎ましいと思われてしまうこともあり、必ずしもお互いの愛情の度合いがマッチするばかりではありませんが・・・。

犬同士で口を近づけ合っていると大変微笑ましい行動ではありますが、子犬や社会性の乏しい犬の中には相手の表情や態度の変化を見落としてしまい、つい自分の愛情ばかりをアピールしてしまうこともあります。
ドッグランや散歩中、レジャー先などで愛犬が見知らぬ犬に不用意に近づいたり、必要以上に接近した時は、相手の犬の様子にも目をくばり緊張感を抱いていないか、不快な表情をしていないか?を気にかけてあげましょう。もし相手が一瞬でも不快な表情を見せたり、体をこわばらせている場合は即座にその場から愛犬を遠ざけ安全を確保すべきです。

かわいいだけでは済まない人獣共通感染症へのリスク

日ごろから甘えん坊な性格の犬や留守番時間が長く寂しい思いをしがちな犬はふとした時に家族の顔や手を舐め、愛情表現をするものです。
家族にとってもそんな愛犬の仕草にますます愛おしさがつのるものでしょう。
ただ犬との濃密な接触は時に人獣共通感染症という大きなリスクをもたらすことがあります。重篤化するケースは世界的にみても稀ではあるものの、ペットと暮らす中で必ずしも自身には無関係ともいえないことを知っておきましょう。

日ごろから、

  • 唾液や口内への接触は避ける
  • 糞便や尿の片づけ後は必ず手洗いを済ませる
  • 食器や箸を愛犬と共有しない
  • 家族の傷口や出血の箇所に愛犬が触れる、舐めることのないように注意する

愛犬からの愛情は正しく安全な方法で受け止め、これからも素敵な時間を過ごせるよう心掛けてゆきましょう。

参考:厚生労働省 動物由来感染症