2020年5月17日
腎臓病の犬に適した手作り食の作りかた
腎臓病の愛犬にぴったりの手作り食とは
腎臓病の犬に関しては、腎臓に負担がかかりにくい食事管理がとても大切であると考えられています。
食事管理のポイントは特定の栄養素を制限することによって腎臓への負担軽減を行い、同時に腎臓に良い影響を与える栄養素を手作り食に付け加えることです。
今回はこれらを踏まえ腎臓病の犬に適した手作り食について簡単にご紹介いたします。
たんぱく質量を制限した手作り食
犬の血液検査で腎臓の健康状態を確認する場合に血液化学検査項目の「クレアチニン」や「BUN」、「P(リン)」などの上昇度合いを基準に考えることがあります。
この中の「クレアチニン」に関しては、食事で摂取したたんぱく質が体内で代謝されてできる老廃物であると考えられており、たんぱく質量の多い手作り食は腎臓への負担の原因になりかねません。
ただし犬にとって動物性たんぱく質は重要な栄養素ですので、極力量を減らせばよいという問題でもないので注意しましょう。
消化しやすい良質な肉や魚を使用するなど、動物性たんぱく質の質に関しても考えながら腎臓病の進行度合いに合わせて制限しましょう。
ちなみにドライフードの腎不全食事療法を目安にする場合、タンパク質量は20%以下であると考えられていますが、獣医師に相談の上必要に応じて適切な量に制限することをおすすめします。
リンが制限された手作り食
ミネラル(無機質)中に含まれている栄養素である「P(リン)」は、犬の歯や骨を形成するために重要な栄養素ですが、手作り食でリンの割合が多すぎると腎臓病の進行を早めてしまう要因になりかねません。
健康体の犬であれば不要な「P(リン)」は体外に排出できる仕組みになっていますが、腎機能が低下傾向にある犬に関してはこれが正常排出できないことがありますので、腎臓への負担軽減のために手作り食ではリンの制限が必要です。
リンはたんぱく質量の多い肉、魚、卵、乳製品や豆類などに多く含まれているので、たんぱく質と同様手作り食では過剰に与えないよう注意しましょう。
ナトリウムが制限された手作り食
ナトリウムに関しては、主に重症化している慢性腎臓病の犬に制限したい栄養素です。
健康体の犬であれば「ネフロン」が機能することによってろ過や再吸収、分泌、濃縮などが行われ不要な物質は体内からでる仕組みになっていますが、腎臓が正常に機能していないと体に不要なナトリウムなどは体内に老廃物として溜まってしまいます。
慢性腎臓病の犬の場合は極力ナトリウム量を制限した手作り食にしましょう。
必須脂肪酸を含んだ手作り食
必須脂肪酸の1つである「オメガ3脂肪酸」は、体の様々な部位の「炎症作用」が期待できる栄養素ですが、腎臓の「ネフロン」の毛細血管の炎症緩和にも役立つと考えられます。
病気の進行度合いなどによって異なるものの、腎臓病の犬の場合は毛細血管が炎症を起こすことによってろ過機能が低下しやすいため、「オメガ3脂肪酸」を手作り食に加えると良いでしょう。
腎臓病の犬のオメガ3脂肪酸効果に関しては決定的な証拠はないものの、慢性腎不全を誘発させた犬については効果が実証されています。
手作り食では、EPAやDHAのオメガ3(青魚に多く含まれている)やサプリメントを活用するのも良いでしょう。参考までに腎不全の場合は手作り食では「オメガ3脂肪酸」0.4%以上が目安になります。
最後に
いかがでしたか。犬の腎臓病に適した手作り食についてご紹介致しましたが、一概に腎臓病といっても症状や進行度合いは様々です。
なので、手作り食で症状緩和や進行を遅らせる場合は、動物病院での検査結果や獣医師の意見を参考にしながら適切な食事管理を行うことをおすすめします。